こんにちは。
夜勤専従介護士のあんこです。
と思っているみなさん。
就職活動となると、履歴書や面接の準備がたいへんですし、できれば求人の段階で良い条件の施設を見極めたいところですよね。
わたしもそう思い、ハロワークやジョブポスト、求人サイトなどたくさんの求人を見てきました。
しかし、残念ながら求人だけでブラック施設を見極めるのはとても難しいです。
というのも、ブラック施設で働いていた経験がありますが、求人は好待遇だったからです。
求人だけでブラック施設かどうか見極めるのは難しいので、面接や施設見学も重要になってくるんですよね。
今回は、好待遇求人に惹かれてブラック企業に入ってしまった失敗談をお話します。
わたしのように求人の段階で失敗しないように、求人はどのように出ていたのか?なぜ求人で見分けることができなかったのか?という求人の裏側を、働いてみてわかった現状と照らし合わせながらご紹介します。
わたしの失敗談がすこしでもみなさんの就職活動のお役に立てたらうれしいです。
- 好待遇求人こそ慎重になるべき
- 働いてわかった求人と現状のギャップ
- ブラック施設で働いて良かったこともある
ブラック施設の定義はない
そもそもブラック施設ってなんだろうと気になり調べてみましたが、ブラック企業のはっきりとした定義はないようです。
ブラック企業の定義が曖昧なぶん、 働いている人が
「ブラック企業だ!」
と感じるなら、それはもうブラック企業なのです。
わたしが思うブラック企業の定義はいたってシンプルです。
心身ともにかつお節のように削られていく企業。
わたしが働いていたブラック施設は、求人では一見そうとはわからない好条件でした。
見極められなかった求人の裏事情
わたしが実際働いていた施設の求人概要をまとめてみました。
- 高給与(周辺エリアでトップに入る)
- 年間休日 110日以上
- 有給 年10日付与
- リフレッシュ休暇 年5日取得実績あり
- 賞与4か月支給実績
- 昇給あり
- 退職金制度あり
- 資格手当あり
- 住宅手当・扶養手当あり
- 残業なし
- 充実の研修制度
- 試験方法:筆記試験(一般常識、適正検査)、一次面接、二次面接
そこそこ良い求人だと思いませんか?
これだけ見ると、どこがブラックなの?と思う人もいると思います。
条件はとても良いのですが、求人とちがっていた現状を深堀ります。
【検証】好待遇求人の落とし穴を深掘る
どこにどんな落とし穴があったのか検証します。
①高給与(周辺エリアでトップに入る)
基本給は求人どおりでした。
しかし給料計算のまちがいで夜勤手当や超過勤務手当が振り込まれない、資格手当がついていない、と職員の間で聞かれることも何度かありました。
当日出た欠員のための超過勤務の手当ては出ましたが、業務が終わらなかったり、時間外に行われる会議の残業といった残業代はまったく出ませんでした。
②社会保険完備
社会保険は求人どおりありました。
③年間休日 110日以上
公休はギリギリなんとかとれていました。
介護業界のなかではわりと休みはしっかりとれる方だったと思います。
ギリギリというのは、毎月はとれていなかったという落とし穴です。
月に9日の公休があったら、とれない時はその分を翌月に繰り越し、また繰り越しとなっていました。
とれない公休がどんどん溜まっていくのでシフトは常にひっ迫。
職員の飲み会やスポーツ大会などのイベントごとが多い会社だったのですが、任意ではなく強制。
休みの日でも出勤しなくてはなりませんでした。
年間休日は比較的多いのですが、休日も会社のイベントのため削られていました。
④産休・育休・介護休暇取得可能
産休・育休は取得できていました。
介護休暇は取得する人がいませんでした。
⑤リフレッシュ休暇 年5日取得実績あり
リフレッシュ休暇は取得必須を会社が推していたので、5日間取得できていました。
有給が義務化されたとき、単純にリフレッシュ休暇のほかに、有給が5日とれるようになるものと思っていましたが、甘い考えでした。
”それまでとっていたリフレッシュ休暇=義務化された有給”という名目になっただけで、休みが増えたわけではなかったのです。
⑥有給 年10日付与
有給はあってもとれません。
とれるのは義務化された有給5日だけ。
入社6ヵ月後に有給10日付与とはありましたが、実際は、公休と義務化された有給5日を消化するのがやっと。
残りの有給はとれませんでした。
かと言って退職時に有給消化できるかというとそうではなく。有給を消化する雰囲気がないので、溜まった有給はまるまる捨てて辞めていく人がほとんどでした。
⑦賞与4か月支給実績
賞与は夏と冬の年2回、あわせて4か月分しっかりありました。
でもここにも落とし穴が。
賞与の支給割合が不明だったのです。
法人がいくつかある大きなグループ会社だったのですが、給料計算はグループの本社で管理はしているものの、法人ごとに事務員が計算し支給されていました。
賞与時期に同僚と話していてわかったのですが、支給が1ヵ月・2ヵ月と同僚の間で賞与割合がちがっていたのです。
本社に確認すると、”社員全員割合は一緒、2ヵ月分支給されていることが報告であがっているので、そちらの法人の事務に確認してみてください”とのこと。
本社と法人で言っていることがちがっていて、結果、1ヵ月しか支給されていない人は泣き寝入りでした。
退職が決まっている人の賞与も減給、ゼロになったという人もいました。
賞与は会社規定によるので文句は言えないところもありますが、「計算方式や賞与に関する規定を見せてほしい」と直談判した人が、
「それは見せられない、あなたに見せるとほかの人にも見せないといけなくなる」の一点張りをされた、と。
規定を見せられないなんて、不透明すぎて、会社にまったく信用ができませんでした。
⑧昇給あり
年に3000円くらいの昇給がありました。
昇給がない介護施設も多い中で、昇給があるのは良かったです。
でもここにも落とし穴が。
新規施設をどんどん建てていたので、経営に失敗して赤字となり、一定年齢からの昇給はなくなりました。
⑨退職金制度あり
退職金はありました。
以前働いていた他業界の退職金と比べると、同じ年数働いても3分の1でしたが、”退職金あり”の求人どおりでした。
⑩資格手当あり
介護福祉士手当が5000円ありました。
⑪住宅手当あり
賃貸の人、持ち家の人ともに住宅手当がありました。
⑫扶養手当あり
扶養手当もしっかりありました。
⑬残業なし
残念ながらサービス残業は当たり前、残業代はありませんでした。
大きな落とし穴はココです。圧倒的に人員不足なので仕事が終わらない。人件費を極限まで削っているので一人にかかる負担が大きかったのです。
でも会社の理念には残業ゼロを掲げているのです。
理念は理想、理想は圧迫でした。
残業ゼロを掲げて人件費削減を徹底しているので、残業代を出さないのです。経営会議で残業の理由を追及される管理職は、現場の残業代を認めません。
職員は諦めているからサービス残業の常態化。
業務中はいっぱいいっぱいなので、行事や、職員イベントなどの準備は時間外のサービス残業でした。
求人票の”残業なし”はもはや信用できません。
⑭充実の研修制度
新人研修は、4月入社の社員は1週間ほどの研修がありました。中途社員は研修はありません。
スキルアップのための研修会も定期的にありましたが、その裏側では準備に追われるサービス残業の汗を流している人がいるわけです。
自分が研修をやる立場になったときにはサービス残業です。
⑮その他(求人で魅力だと感じたポイント)
「信用」と「安定」は自分の中のフワッとした感覚だったと実感しました。
・知名度がある→信用
・事業規模が大きい→安定
事業をどんどん拡大している会社は、設備投資で赤字が出ます。
運営がうまくいかなければ、そのしわ寄せは働くスタッフに直にかかってくるのです。
給料などの待遇面であったり、ギリギリの体制でまわす人員体制であったり…。
求人だけではわからない内情です。
それでもブラック施設で働いてよかったと思うのは
疲れ果ててブラック施設は辞めましたが、働いて良かったと思うことは意外とたくさんあります。
- 辞めてからも付き合える仲間と出会えた 【戦友は財産になる】
- ブラック施設から学べることはたくさんある
- もうこんな働き方はしたくないという明確な基準ができる 【働き方を考えるきっかけになった】
- 転職先がラクだと思える【辛いといわれる業務がそうでもない】
- 限界値は広がった【限界値にも限度はある】
ブラック施設を求人の段階で見極めるのは運に近いところがあります。求人だけではなく、面接や施設見学の雰囲気を見ることも重要になってきます。それでも働いてみないとわからない部分も多いです。
実際に働いている人から意見を聞けるのが1番良いのですが、自分でむずかしいときは、施設の内情にくわしい紹介会社の力を借りることもひとつの方法です。
介護業界がブラックなところばかりではないので、一つの失敗例として求人を見る際の参考にしてみてください。