介護夜勤は辛い?【夜勤専従介護士が介護の夜勤を徹底解説】
「介護の仕事に興味があるけど夜勤が不安だな…」
「夜勤は辛いって聞くけどなにが辛いんだろう?」
と介護業界の夜勤について漠然と不安を感じている方。
この記事では、
- 夜勤はどんな仕事をするのか
- 夜勤が辛いと言われている理由
- 辛いと言われている夜勤をやるメリットは?
- 夜勤あり施設を選ぶときのポイント
について、解説します。
そんなわたしは、夜勤が大キライだったのに、いまは夜勤専従で働いている介護士です。
給料が下がってもいいから日勤だけのデイサービスに転職しようかな…と考えていたくらい夜勤がキライでした(笑)。
ですが、勤務日数をおさえて生活費が稼げる夜勤専従という働き方に魅力を感じて、
大キライだったはずの夜勤なのに、今は夜勤専従という働き方のおかげでスローライフが送れています。
今回は、そんな夜勤嫌いだったわたしが、経験をもとに介護の夜勤の実態を、介護未経験の人でもわかるように説明します。
この記事で伝えたいこと
・介護職につくなら夜勤は経験しておくべき
・夜勤あり施設を選ぶときはサポート体制がしっかりしているところを選ぼう
夜勤の仕事内容
介護の夜勤は2種類あります。
ショート夜勤とロング夜勤
・勤務時間が8時間程のショート夜勤
・16時間程のロング夜勤
夜勤は体力的な負担が大きいので、フルタイム勤務のロング夜勤の場合は月に4~5回という施設がほとんどです。
例外で、ロング夜勤でも職員不足で月6~8回というところもあります。
逆に、月0~2回と少ないところもあります。
ロング夜勤の場合は、2日分働くことになるので、夜勤入り、夜勤明け、明けの翌日は休みというシフトになります。
4/1夜勤入り
4/2夜勤明け
4/3休み
といった感じです。
ちなみにわたしは夜勤専従で、月に8~10回のロング夜勤をしています。
夜勤の勤務時間
・ショート夜勤は22時から翌朝7時前後
・ロング夜勤は16時~翌朝10時前後
勤務時間は、同じロング夜勤でも施設によって差があります。
16時~10時までの勤務もあれば、16時半~8時半までというところもあります。
前者と後者では2時間の差があるので、業務量が違う分、体力の消耗も違います。
業務内容の違いを例にあげると
・8時半あがりの場合:朝食後、配薬、残っている記録を入れて終了
・10時あがりの場合:配薬後、トイレ誘導や臥床介助、記録を入れて終了
といった感じです。
夜勤明けで体力が消耗しているなかで、この時間差は大きいです。
就寝介助
夕食を終えてからの就寝介助は慌ただしい時間です。
夕食を終えてから
・服薬介助
・歯磨き
・居室へ移動
・着替えのお手伝い
・臥床介助
・夕食後の片付け
をバタバタと行います。
遅番が帰ったあとは夜勤者だけになってしまうので、遅番がいるうちにある程度済ませたいというところです。
これから始まる夜勤の時間と心の余裕のためです。
排泄介助
夕食後、寝る前にトイレ誘導やオムツ交換をしますが、利用者が寝ている間も排泄介助に入ります。
23時、4時といった決められた時間に入る施設が多いです。
巡視
施設によりますが、1時間~2時間に1回、巡視をします。
体調不良の人や、眠れずに落ち着かない様子の人がいるときは、その都度巡視します。
起床介助
早いと4時ごろ起床する利用者もいるので、コール対応が増えてくる時間帯です。
怒涛の時間の始まり、夜勤最大の難関です。
起床後はトイレ誘導・オムツ交換から始まり
着替えのお手伝い
顔をタオルで拭いたり寝ぐせを直したり身だしなみを整え
カーテンを開け布団をきれいに畳んで
ゴミを集めて食事場所へ移動
と1番忙しい時間帯です。
早番が来るまで夜勤者がメインでこの起床介助を行います。
わたしが前にいたユニット型特養では、夜勤者が一人で20人の起床介助をしていました。
今働いている有料老人ホームは早番や日勤も起床介助をやるので、特養に比べるとラクです。
コール対応
コールが鳴るのは2パターンあると思っています。
利用者からのコールと、設置しているセンサーが反応して鳴るコールです。
利用者からのコールは「トイレに連れてって」「眠れない」「水が飲みたい」とさまざまです。
センサーが反応して鳴るコールは、転倒リスクが高い利用者の安全確保のために設置したセンサーマットなどの反応によるものです。
設置したセンサーマットが鳴るのはリスクの知らせなので、鳴ったらとにかく急いで向かいます。
夜勤が辛いと言われる12の理由
その1 急変対応
利用者の急変は夜勤で1番起きてほしくないことです。
夜勤が複数名体制の施設だと急変時に役割分担ができるので心強いですが、グループホームなどの小規模施設だと夜勤が一人という場合が多く精神的に負担が大きいです。
介護経験が5年あっても急変にあたったことが全くないという人もいる位なので、夜間の急変対応は慣れるようなものではなく、精神的な負担が大きいです。
その2 利用者の状況(不眠、体調不良、コール頻回、転倒や転落などの事故)
・不眠の人がいる
・体調不良の人がいる
・コールが多い
・事故リスクの高い人が多い
などなど…
これが重なるとかなりきついです。
不眠の人が転倒リスクがある人だったら、1人いるだけでもきついです。
その人にかかりきりになってしまい他のことができない、時間がどんどん押す…という夜勤あるあるです。
その3 体力的に辛い
ロング夜勤は勤務時間が長いので体力的に辛いです。
施設によるので、ロング夜勤でもラクな施設はあります。
ショート夜勤は勤務が連続する辛さがあります。
夜勤明けの日の夜に再び夜勤入り、となるので、「休んでいる感じがしない」とはよく聞かれる言葉です。
その4 一人夜勤が辛い
一人夜勤は精神的にキツイです。
言うまでもなく全部一人でやらなくてはいけないという辛さがあります。
落ち着かない利用者が何人もいると泣きたい状況の時もあります。
急変対応も一人でやらなくてはならない大変さもあります。
その5 夜勤の相方と相性がわるい
パワハラ上司のような人との夜勤は、精神的にきついです。
日中と違ってほかに職員がいない夜勤では、長い苦痛の時間になってしまいます。
その6 拘束時間が長い
2日分働くロング夜勤では、長いところだと18時間、職場に拘束されることになります。
その7 夜勤回数が多い
ロング夜勤は、月に4回位のところが多いですが、人手不足の施設では7、8回と入るところもあります。
体力的にきついです。
その8 仮眠時間がとれない
仮眠時間があっても、日により仮眠がとれる状況ではない時もあります。
夜勤で行くたびに仮眠がとれないような状況が続くと、夜勤が辛いと感じるようになります。
その9 夜勤の人員体制がきつい
夜勤の人員体制がきついということについて、わたしが働いていたユニット型特養の例をあげます。
2ユニット20人を見ている夜勤で、同じフロアの夜勤者が仮眠に入る時は、その夜勤者のユニットの20人もあわせて40人を見ていました。
コール対応もその分多くなり、移動距離も長くなるので、安全面でのリスクが大きく、精神的な負担がありました。
その10 家族との生活リズムが合わない
夜勤をしながら家事や育児の両立はたいへんです。
その11 睡眠サイクルがくずれる
夜勤が合わない人は、疲れとストレスから不眠になってしまう人もいます。
夜勤後の疲れがとれない
夜勤後の疲れがなかなかとれずに疲れが残ったまま、という人もいます。
夜勤のメリット
夜勤はデメリットばかりではありません。
夜勤のメリットをとってわたしのように夜勤専従で働く人がいるように、メリットは大きいです。
給料アップ
「夜勤手当」これがかなり大きいです。
わたしがフルタイムで働いていた老健では、夜勤手当が1万円でした。
月4回夜勤に入ると、1夜勤1万円×4回=4万円が、月給にプラスになります。
わたしが今働いている夜勤専従は、1夜勤2万円なので、2万円×10日=20万円です。
これは夜勤専従としては低い方ですが、10日勤務でこの金額がもらえれば生活はできます。
勤務日数が減る
夜勤専従で働くと、フルタイムで働くよりは時間に余裕のある生活ができます。
フルタイムで働く場合でも、ロング夜勤に入れば勤務日数が減らせます。
「夜勤、明け、休み」でシフト上、3日消化することになるからです。
新人の頃は夜勤に入れなかったので、夜勤に月4回入るようになってから、休みが多くなったように感じました。
わたしの場合は夜勤専従で月に10日くらい勤務しています。
自分のペースでできる
日勤帯にあるレクリエーションや食事や入浴…といった業務が夜勤にはありません。
その分、利用者状況をみながらある程度は自分のペースで仕事できます。
夜勤経験は働き方が広がる
夜勤を経験すると、夜勤専従という働き方もできます。
夜勤専従の求人をみると、施設で1~2年の夜勤経験が必要という条件がある場合が多いです。
フルタイムのシフトで働くのが辛くなったとしても、夜勤専従という働き方もできるようになります。
夜勤未経験者が夜勤あり求人を選ぶ際のポイント4選
夜勤のメリットやデメリットを知った上で、夜勤ありの求人に応募しようかな、と考えている人は、選ぶ際のポイントがあります。
1番大事になってくるのは、施設のサポート体制だと思います。
サポート体制がしっかりしていれば、未経験の人でも介護技術を身につけられるからです。
これからポイントを4つご紹介します。
ポイント1 介護施設の形態や規模をみる
職員一人が見る利用者人数や施設の大きさによって、業務量がまったく違います。
同じ人数を見るとしても、造りが広い施設だと移動距離が長いので、体力は消耗します。
コール対応にかけつけるまでの時間もかかるので、リスクも大きくなります。
施設の造りは実際に施設に行って見てみないとわからないので、施設見学させてもらえると良いです。
ポイント2 利用者の人数と介護度
・利用者人数
・利用者の平均介護度
利用者人数を見るときには、職員一人あたりが見る利用者人数が大事です。
求人には、施設全体の定員数しか載っていないので、夜勤の時に1人の職員がみる利用者の最大人数を確認しましょう。
施設の平均介護度が1~2は低い方ですが、4以上となると、介助量が多い分たいへんになってきます。
介護度が高ければ、その分、求められる介護技術も高くなります。
ポイント3 どのくらいの期間サポートがつくか
・夜勤に入るまでのサポート期間
・夜勤のサポート回数
わたしが初めて夜勤に入ったのは、入社後半年してからです。夜勤のサポートは1回のみでした。
サポート期間も施設によって違うので、どのくらいサポートがあるのか施設に確認するのも良いと思います。
ポイント4 仮眠中の休憩回し要員がいる
仮眠中の休憩回し要員がいるということは、自分が見るのは担当フロアの利用者だけということです。
例えば、わたしが働いていたユニット型特養では休憩回しの職員がいませんでした。
休憩回しの職員がいないということは、自分のユニットの20人にプラス、同じフロアの夜勤者が仮眠に入っているときはそのフロアの20人もあわせて40人見るということです。
夜勤未経験でいきなり夜勤に入ることはない
夜勤未経験者が夜勤ありの施設ではたらくことになった場合、いきなり夜勤に1人で入ることはまずありません。
もし初めての夜勤がいきなり1人での勤務といった施設があったら、ブラック企業なので、迷わず辞めましょう。
わたしの場合は夜勤に先輩がついたのは1回でしたが、日勤帯を覚えてから夜勤に入るので、夜勤についてくれた先輩の判断でゴーサインが出たら、夜勤デビューといった感じでした。
早いところだと、入社後1ヵ月で新人職員でも夜勤に入る施設もあります。
介護未経験で1ヵ月で夜勤に入るのはリスクが大きいのでなかなかないですが、介護業界で経験がある場合は1ヵ月で夜勤に入るというところもめずらしくありません。
不安な場合は、どのくらいサポートがつくのか確認することをおすすめします。
まとめ
「夜勤は辛い」というイメージがありますが、メリットもあります。
介護未経験の人は、日勤でしっかり介護技術を覚えられるようなサポート体制がととのった施設だと、初めて入る夜勤までに介護技術が身につけられて、利用者のことも把握したうえで夜勤に入れるので、その点の不安は軽減されると思います。
夜勤に不安がある人は、今回の記事を施設選びの参考にしてみてください。
読んでくれてありがとうございました。
あんこでした。