老健か特養勤務で迷っているんだけど、それぞれどんな違いがあるの??老健と特養の特徴を詳しく教えてほしい!
↑こんな介護士さんに向けて、「老健と特養の違い」についてお話していきます。
この記事を書いているわたしは、特養と老健を経験し、いまは有料老人ホームで夜勤専従で働く介護福祉士です。
老健⇔特養に転職を考えている介護士さんに、とても参考になる記事ですので、ぜひ最後まで読んでみてください(^^)♪
目次
老健・特養の違い
介護士が老健で働く場合と、特養で働く場合のちがいを、表にカンタンにまとめてみました。
老健 | 特養 | |
①役割 | 在宅復帰を目指す(医療系施設) | 生活施設(福祉系施設) |
②利用者 | 要介護1以上 | 原則、要介護3以上 |
③利用者(ご家族)とのかかわり | 原則、3ヵ月 | 終身 |
④スタッフ | 看護師・リハビリ職が特養より多い | 看護師・リハビリ職が老健より少ない |
⑤夜勤スタッフ | 介護士と看護師 | 介護士のみという施設が多い |
⑥勤務体制 | シフト制 | |
⑦休日 | シフトによる | |
⑧教育制度 |
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⑨業務内容 | 日常生活の介助がメイン | |
⑩得られるスキル | 医療・リハビリの知識 | 介護スキル・ターミナルケアの経験 |
⑪急変対応 | ある(※老健は常時看護師がいるが、特養は夜間看護師がいない) | |
⑫他職種との関わり | 多い | 多いが、老健よりは少ない |
①役割
老健は「在宅復帰を目指す施設」、特養は「生活施設」という違いがあります。
老健は病院と自宅の中間施設として、医療面でのサポートや、リハビリ、介護をします。
特養は、自宅で生活を送ることがむずかしい利用者さんの介護をします。
②利用者
老健の利用者さんは要介護1以上、特養は要介護3(原則)以上の方が対象です。
特養は、入所条件が要介護3以上なので、老健より介助量は多いです。
③利用者(ご家族)とのかかわり
基本的に老健は、3ヵ月で利用者さんが在宅生活に戻れるようにサポートする施設なので、利用者さん(ご家族)とかかわれるのは3ヵ月です。
老健は利用者さんが定期的に入れ替わるので、その分覚えなきゃならないことも多く、臨機応変な対応が必要です。
特養は「終の住処」といわれるように、長期で生活のサポートをする施設なので、利用者さん(ご家族)と長くかかわることができます。老健とは違って、入退所が少なく、利用者さんの1日の生活リズムができているので、業務の流れがある程度決まっています。
④スタッフ
老健・特養ともに看護師やリハビリ職がいますが、くらべると、老健の方が看護師もリハビリ職も多く、かかわる機会が多いのも老健です。
特養にも看護師やリハビリ職はいますが、人数が少ないので、かかわれる時間が少ないです。
たとえば、老健では、看護師も一緒に入浴介助をやることもありますが、特養は看護師が少ないので、介護スタッフのみでやっていました。
わたしの働いていた特養では、早番看護師は遅番看護師が来るまで1人で全利用者をみていたので、日常的に看護師とかかわるのは、処置の補助に入るときくらいでした。
老健の方が、看護師・リハビリ職どちらも多いので、その分かかわる時間は多いです。
⑤夜勤スタッフ
老健は、夜勤に看護師がいますが、特養は介護スタッフのみのところが多いです。
老健での経験が長い介護士さんでも、特養は「夜勤に看護師がいないのがこわい」という人もいます。
⑥勤務体制
老健・特養どちらもシフト制で夜勤もあるので、生活リズムはバラバラです。
早番・日勤・遅番・夜勤でシフトが組まれます。正社員で働く場合は、基本的にはどちらも夜勤ありの働き方になります。
老健・特養の勤務体制には、大きな違いはありません。
⑦休日
休日はシフトによってまちまちなので、土日の休みがまったくないという月もあります。
シフト制の施設では希望休がとれるところがほとんどなので、希望で土日休みを入れることもできますが、希望休がどのくらいとれるかは、ほかのスタッフとの兼ね合いや施設によります。
⑧教育制度
老健・特養とも大きな施設は、「OJT制度」「プリセプター制度」といった教育体制があり、指導者がつきます。
勉強会や研修などもあるので、未経験からでも働ける教育体制は整っています。
⑨業務内容
老健・特養どちらも、介護士は日常生活の介助がメインですが、業務内容や1日の流れがすこし違います。
基本的に、老健はリハビリをする施設なので、利用者さんの生活にはリハビリ職が行うリハビリの時間が入ってきます。介護士も、生活のなかにリハビリを取り入れた介助をします。
特養にもリハビリ職がいますが、リハビリ職が少なく、老健のような手厚いリハビリはできないので、介護職がレクリエーションを行います。
⑩得られるスキル・経験できること
老健と特養で得られるスキル・経験できることの主な違いは以下のとおり。
老健 | 医療・リハビリの知識 |
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特養 | 介護スキル・ターミナルケア |
医療系施設である老健の方が、より医療の知識は身に付きますが、特養にも医療的な処置が必要な利用者さんがいるので医療の知識はつきます。
老健は、リハビリ職が行う様々なリハビリの様子を見ることもできますし、介護士も生活リハビリをするので、リハビリについて学べます。
特養は、介助量が多い利用者さんが多いので、どの職場に行っても通用するくらいの介護スキルが身に付きます。利用者さんの最期のときまでかかわることができるので、ターミナルケアを経験できるのも、老健との大きな違いです。
⑪急変対応
老健・特養どちらも急変対応はあります。
違いは、老健には常時看護師がいるので、判断を看護師に委ねられる・指示を仰ぎやすい、という安心感があることです。
夜勤看護師がいない特養では、看護師はオンコール(自宅待機しいつでも出勤できる状態でいる)体制になっているので、急変が起きたら、待機看護師に連絡をして、指示を仰ぎます。
⑫他職種とのかかわり
老健・特養ともに、介護施設はかかわる職種が多いですが、くらべると、老健の方がそのかかわりがより多く、連携する場面が多いです。
というのも、繰り返しになりますが、老健はリハビリが中心の生活になるからです。介護士もリハビリを意識した介助が必要になってきますし、利用者さんの状態をリハビリ職にもしっかり伝えないといけません。
また、老健では特養にくらべて看護師も多いので、その分かかわる機会も多いです。
老健・特養の向き不向き
老健と特養には向き・不向きがあります。
・在宅復帰を支援したい
・利用者さんの回復していく姿が見たい
・チームケアを経験したい
・医療やリハビリの知識を身に付けたい
・たくさんの利用者さんと出会いたい
・夜勤に看護師がいないのは不安
・看取るのは辛い
・利用者(ご家族)さんと長くかかわっていきたい
・利用者さんの最期を看取りたい
・1日の流れが決まっていた方が働きやすい
・体力に自信がある
・刺激ある生活よりも安定した生活の方が良い
・どの職場に行っても通用する介護スキルを身に付けたい
・夜勤は一人の方が気がラク
老健と特養それぞれに向き・不向きはありますが、実際のところ、職場によって労働環境はさまざま。
「老健だと特養より介護スキルがつかない」とか「特養だと医療の知識が学べない」のようには、一概には言い切れません。
在宅復帰を支援したいなら老健、介護スキルを身に付けたいなら特養
「リハビリ知識を学びながら在宅復帰を支援したい」なら老健、「どこに行っても通用する介護スキルを身に付けたい」なら特養がオススメです。
繰り返しになりますが、職場によるので、職場自体をしっかり見極めることが大切。
自分は介護士としてどんなキャリアをつんでいきたいのか?
自分が今やりたいことは?
こんな感じで、今の気持ちと今後のキャリアについてしっかり考えてみましょう。
そのうえで、理想の働き方ができるのはどの職場なのか、見極めることが大切です。
この記事が、あなたの今後の働き方を考える参考にすこしでもなれていたらうれしいです。